定住ビザ不交付」タグアーカイブ

【業務週報】使命を終えた定住ビザ?

ここ1~2ヶ月、ポルトガル語新聞にコラムを掲載。原稿執筆のお仕事もお待ちしてます。

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「定住者」という在留資格があります(以下定住ビザ)。定住ビザの中にもいろいろなカテゴリーがあり、大きく分けると

1)日系3世
2)日系2世、3世の配偶者
4)未成年の日系4世、日本人配偶者の連れ子
5)日本人と離婚した外国人
6)日本人の6歳未満の特別養子

などの外国人が該当します。

愛知県や静岡県は日系ブラジル人が多く、私の外国人知人やお客さんにも「定住ビザ」の人が沢山いるのですが、リーマンショック以降、日本での生活が安定せず「定住できない定住者」となっている感があります。

定住できない理由はいろいろですが、日本社会側の問題点として、雇用主である日本企業が定住者を景気の調整弁として使うこと。多くの定住者は派遣労働者で雇用期間も短く、不況になると真っ先に首を切られる状況が20年以上も続けられています。

一方、定住者側から見ると、日本語能力やスキルがないまま来日し、来日後も日本人と接触せず同国人コミュニティー内で生活する者が多く日本社会の底辺を彷徨って上昇できないという感があります。技能実習生のように母国で日本語を学んで来日し、仕事しながら日本語能力やスキルがアップするようなシステムがあれば良いのですが、これも改善される兆しはありませんね。

定住ビザが作られた1990年当時日本はバブル景気で単純労働者が不足しており、職業制限のない定住者は金の卵でしたが、今の日本は工場の海外移転で空洞化が進み、製造業の単純労働者が余っているような状況、ビザの審査を厳格化し定住者の入国を制限するのも仕方がないのかも知れません。もしかしたら定住者の存在価値は終わったのかも知れません。

一方、日本生まれ、日本育ちの定住者や定住者上がりの永住者も増えており、彼らは日本人と同じアイデンティティーを持っています。彼らに期待するしかないんでしょうね。ということで、日本語能力やスキルをつけて日本で定住できるよう頑張りましょう。どの道、日本は少子化で今後外国人の力を借りなければいけなくなるのですから。

「再入国拒否は違法」 日系ブラジル人、国を提訴 静岡
2013.5.9 02:10 MSN産経ニュース

国の帰国支援事業を利用して母国に帰国したことを理由に、日本への再入国を認めないのは違法として、サンパウロ在住の日系ブラジル人女性、フテンマ・ジュリアネさん(21)が8日、国を相手取り、処分の取り消しを求める訴訟を静岡地裁に起こした。女性の夫フテンマ・ルカスさん(22)と代理人弁護士が、会見で明らかにした。

訴状によると、ジュリアネさんは両親とともに7歳の時に来日。浜松市で生活していたが両親が失業したため平成21年6月、国が帰国費用を支給する同事業を利用してブラジルに渡航。23年に同事業を利用せず帰国していた夫と結婚した。夫は昨年、ブラジルから日本に戻り浜松市内で就職。妻を呼び寄せようと名古屋入国管理局の浜松出張所に在留資格を申請したが、同事業を利用したことを理由に再入国は認められなかったという。

事業利用者の再入国について弁護側は「国は3年をめどに認めるとしていたはず。事業を理由に拒否することは入管法に記載されていない」と指摘。ルカスさんは「思春期を過ごした日本で妻と暮らしたい。多くの人に支援してもらいたい」と話していた。

事業を所管する厚生労働省の担当者は「経済と雇用の動向を踏まえ、3年後に検討するという内容だった。雇用情勢が一定の水準に戻るまでは入国はできない」としている。また、法務省審判課は、「訴訟の場において明らかにしたい」とコメントした。

入管一転、在留資格認定 日系ブラジル人女性に
(2013/5/30 7:44) アットエス

政府の帰国支援事業を利用した日系ブラジル人女性が、再入国を拒否されたのは不当として国を提訴した問題で、名古屋入国管理局は29日、女性の入国を認めないとする決定を取り消し、在留資格の認定証明書を発行した。訴訟によって女性の妻という身分を再検討した結果とみられ、浜松市役所で会見した女性の夫=同市中区在住=や原告側代理人らは「誠実な対応。やっと夫婦一緒に暮らせる」と喜びを表したものの、再入国を制限する国の制度そのものにはあらためて疑問を呈した。
女性(21)はサンパウロ州在住。代理人によると、夫の日系人男性(22)は同日午後に同管理局浜松出張所で、再入国不可とした今年1月の決定の取り消しを告げられ、女性の認定証明書を渡されたという。
一転して再入国を認定した理由について、同管理局の入国審査官は「妻という新しい身分を得たことについての審査が不十分だった」と説明したという。
今回の決定を受け、静岡地裁に起こした訴訟は「裁判の目的は達成されたので取り下げる可能性が高い」(代理人)とした。しかし代理人は「結婚という個別の審査の範囲にとどまり、再入国を制限する制度そのものには何ら決着がついていない」と指摘した。
訴状によると、女性は7歳で両親と来日し、浜松市で生活していたが、2009年6月に失業中の両親と一緒に支援事業を利用してブラジルに帰国。11年に、支援事業を利用せずにブラジルに帰国していた男性と結婚した。
男性は12年に日本に再入国して浜松市内で就職。女性を日本に呼び寄せようと名古屋入国管理局浜松出張所に在留資格認定を申請したが、支援事業で帰国したことを理由に認められなかった。

日系人帰国支援事業 リーマン・ショックを受け、日本で失業した日系人を対象に、母国への帰国費用を政府が支給した事業。2009年4月にスタートした。当初、支給を受けると日系人の身分に基づく在留資格での再入国は認めないとしたため、海外の批判を受けた。政府は同5月、再入国の禁止期間を「原則3年をめどにする」との方針を示した。

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【業務週報】ますます厳しくなる定住者ビザの審査

2月に大阪入管で申請した定住ビザの認定がようやく交付。在留状況の悪化とともにビザ更新手続でも不許可が増えており注意が必要です。

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当事務所のお客さんは「定住者」というビザを持ってる外国人が結構多いのですが、その定住ビザの入管の審査が年々厳しくなっております。

定住ビザは日系三世、四世や日系人と結婚したブラジル人、ペルー人、中国残留孤児の子孫(いわゆる帰国者)、日本人と国際結婚した外国人配偶者の連れ子などに与えられるビザで、1990年の入管法改正で新設され、就労制限がなく単純労働可能なことから、日本の製造現場を20年の長きに渡り担ってきた外国人労働者でした。

定住者の外国人は日本の製造業に元気があったときは、現場の人手不足を助けてくれる貴重な存在だったのですが、先のリーマンショックや今回の震災による減産など、日本の経済状況が悪化するに従い、次第にお荷物化してきてしまったんですよね。まあ数が増えすぎて、質が落ちたということでしょう。

今後も労働市場が競合する優秀な外国人労働者である技能実習生が増えるに従い、定住者はより苦境に立たされるような気がします。

こういう判断で入管も審査を厳しくし入国を制限しようとしているのだと思います。まさに20年ひと昔ですね。「多文化共生」というスローガンだけでなく政府も雇用企業ももう少し善処していただきたいと思います。

大阪入管ずさん審査、中国人ら収入見込みを「生活保護」と記載

入国直後から生活保護を受給中の中国人ら29人が、来日後の収入見込みを「生活保護」などと自立生活を疑わせる内容が記載された申請書を大阪入国管理局に提出し、入国審査をパスしていたことがわかった。扶養者欄に生活保護の申請窓口となる「区役所」と記入された事例もあった。こうした申告で入国を認めた入管当局のずさんな審査実態が浮かび上がった。 入管難民法は「生活上、国または地方公共団体の負担となる恐れのある者は上陸を拒否する」と定め、生活保護に頼らざるを得ない外国人は本来、入国できない。上陸拒否条件に該当する疑いのある外国人の入国を許可した今回の入管の対応は、法の趣旨を大きく逸脱したことになる。 関係者によると、入管当局が、入国から3か月以内に大阪市に申請し、今年4月時点で保護費を受給中の61人について、入国審査時に提出された在留資格認定証明書の申請書などを再点検。その結果、入国後の自活が疑われる表記が29人分見つかったという。 8人が来日後の滞在費支払い方法を「生活保護」と明記していたほか、扶養者を「区役所」と記入するなど、入国前から保護費受給を当て込んでいたと予想できるものが確認された。 また、身元保証人の職業欄が空欄だったり、「就職活動中」「無職」「生活保護受給中」と記載されたりした事例も。身元保証人は、中国人らの来日後の扶養を約束する身元保証書を大阪入管に提出していたが、実際には扶養能力も扶養実態もなかったとみられる。 29人は、いずれも日本人の配偶者や日系人で、「定住者」などの在留資格を取得。日系人らへの審査では「日本人との親族関係が事実かどうかが最優先」(法務省幹部)とされ、来日後の生活基盤の調査が形式化していた可能性がある。 大阪市は、昨年6月に発覚した中国人46人(申請取り下げ)の大量申請問題を受け、同様のケースを過去5年にさかのぼって調査。判明した中国人ら61人について、資力や就職先、身元保証人の実態などを大阪入管に照会していた。大阪入管は「個別案件については回答を差し控える」とコメントした。元東京入管局長の坂中英徳・移民政策研究所長の話「明らかに上陸拒否条件に該当し、審査がずさんというほかない。身元保証人が滞在費の支払いを拒んでも罰則もなく、生活基盤が担保されていないのに形式的な審査で入国を許可してしまうのも問題だ」(2011年4月22日 読売新聞)

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