【業務週報】3年で9万人も減った在日日系ブラジル人

ブラジル人登録者が多い浜松~豊橋でもブラジルショップの倒産、閉店が相次いでいます

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2010年末の在日外国人登録者数が発表になりました。驚くことに2010年も在日外国人の数は減少していたのですね。去年はエコカー減税などの影響で在日外国人の数は増加していたものと思っていましたが。想定外とまでは言いませんが読みが甘かったです。

在日外国人数が減少した主な原因は定住者ビザ保持者の減少のようです。留学生や不況の影響を受けにくい技能実習ビザ保持者が多く地理的に近い中国人は実際増加してますから。また定住者の割合が多いブラジル国籍者は23万人まで減少してしまいましたから、今年あたりこれまた技能実習生や配偶者ビザの割合の多いフィリピン国籍者に抜かれるかも知れませんね。

今年も東日本大震災があり、復活してきたとは言え自動車など製造業の雇用は先が読めませんし、円高や原発、放射能の問題で企業の海外への生産拠点の移転は進むでしょうから、残念ながら今後も日系ブラジル人の雇用が復活することはないでしょう。実務でも定住者のビザの審査は厳しくなる一方ですし。

しかし、リーマンショック以前の2008年の最盛期32万人いた日系ブラジル人が9万人も減少してしまった、彼らの雇用が守れなかったというのは、日本の国力や日本の製造業の体力減少の証しですし、多文化共生と言いつつ、雇用企業、ひいては日本社会が外国人労働者を使い捨てにしていることの証しなんでしょうね。なんだか複雑な思いです。

2010年末の外国人登録者、2年連続減少 日系人ら就職難
2011/6/3 19:09 日本経済新聞

法務省入国管理局は3日、2010年末時点で日本に滞在する外国人登録者数が、前年より5万1970人少ない213万4151人 (2.4%減)だったと発表した。外国人登録者数の減少は2年連続。景気低迷の影響でブラジルからの日系人労働者らが職探しに困り、多数帰国したことが背景にあるとみられる。
国籍別に登録者数をみると、中国(台湾、香港を含む)が前年比1%増の68万7156人と、4年連続で最多。同2.2%減の韓国・朝鮮が56万5989人で続き、3位のブラジルは前年より13.8%の大幅減となった。

在留資格別では、出稼ぎ労働で来日する日系人らに多い「定住者」や「日本人の配偶者等」などの減少が目立つ。都道府県別でも、南米からの日系人労働者が多く働く愛知、静岡などで減少した。

祖国の味で懸け橋に 派遣切り後、料理店開き1年

派遣切りで溶接工の職を失ったブラジル人の男性が、小松市内にブラジル料理の店を開いて1年余り。市の基幹産業である製造業が回復を続けてきたのとは対照的に、店の経営は厳しく、来客がゼロの日もある。それでも男性は「故郷のスタミナ料理でお客さんと店を元気にしたい」と話し、アルバイトなどで資金を補いながら、店の灯をともし続けている。

「ボワ タージ トゥード ベン?」(こんばんは、元気?)。小松市本折町にあるブラジル料理店「HOT ICE BRASIL」。日暮れ時になると、ポツリポツリと客がやってきて、軽やかなポルトガル語のリズムが飛び交う。製造業の町とあって、客の大半は、近くの工場で日勤を終えたばかりのブラジル人だ。

分厚いチキンステーキをほお張る2組の常連客。そのそばで経営者のラウリ・ポンシアノさん(44)は寂しげな表情をのぞかせた。「1年前は、お客さんが多かったんだけど……」

サンパウロ州郊外の出身で日系2世の妻マルシアさん(41)と結婚し、商店を経営していた。2人の子どもに日本で教育を受けさせたいと、デカセギに来たのは2004年。安定雇用を目指し、溶接の技術を身に着けたが、08年秋にリーマンショックの嵐が吹くと、真っ先に派遣切りに遭った。

弁当屋のアルバイトで食いつないでいた10年春、景気が上向き始めた。静岡や埼玉に出て行った仲間たちが次々と戻り、ポンシアノさんにも元の職場から声がかかった。だが、「工場に戻っても、いつまた首を切られるか分からない。それなら自分の店を持って勝負したい」と決意、5月にブラジル風ハンバーガーと定食の店を開いた。

市内在住のブラジル人は約1000人。当初は、夜勤明けや日勤明けの客がひっきりなしに訪れ、1日平均約40人に達したが、客足は徐々に鈍り、冬になると、ゼロの日が何日も続いた。寒さが苦手なブラジル人は、雪が降ると、会社と自宅を往復するだけで外食をしなくなるのだ。

今年に入り、経営は逼迫(ひっぱく)、ポンシアノさんは毎晩4時間、厨房(ちゅうぼう)を妻に任せ、溶接のアルバイトに出かけるようになった。そのアルバイトも東日本大震災のあおりを受けて4月末で打ち切られ、店は正念場を迎えている。

ポンシアノさんは5月から土日のバイキングを始めた。ブラジル名物のパルミット(ヤシの芽)など6種のサラダに焼き物8種を加え、種類の豊富さと量でアピールする作戦だ。全体の1割に満たない日本人客を増やすため、日本語のビラを配布し、アマゾンフルーツのジュースをPRすることや、客足の落ちる冬場に宅配サービスを行うことも考えている。

「将来は、日本人にも人気のシュラスコ(焼き肉)を出し、料理を食べに来た日本人とブラジル人が仲良くなれるような店にしたい」。逆境にめげず、夢を抱きながら、厨房(ちゅうぼう)に立ち続けている。

(2011年6月2日 読売新聞)

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