【業務週報】安くなくなる外国人研修生制度の今後


経済危機と入管法の大改正で在日外国人の勢力分布が大きく変わろうとしています
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改正入管法がついに成立しました。私が注目しているのが外国人研修生・技能実習制度についての改正。

今まで外国人研修生制度では、「労働ではなく研修だ」という論理により労働基準法や最低賃金法の適用がなく、それが原因で一部の悪質な受入機関によって「時給300円問題」や「人権侵害問題」、「不正行為」などが頻発していたのですが、これで一応そういう問題に終止符が打たれるんではないかと期待しています。

一方、最低賃金の適用により今まで外国人研修生制度の売り、メリットだった「安い労働力」という一面が消えうせます。研修生受け入れにかかる初期費用や煩雑な労務管理を考えた場合、日本人のパートやアルバイトの非正規雇用や日系ブラジル人など就労可能な他の外国人労働者へシフトしたほうが人件費などのコストが安くなるという事態も起こりえるので今後の動向に十分な見極めが必要でしょう。

とにかく、社会問題化しマスコミや世間の目、そして入管の目もすでに非常に厳しいですし、研修生関連の改正は他の施策より前倒しして行われますので、外国人研修制度の一次、二次の受入機関は早急な対策が必要です。ご不明な点がありましたらご気軽にお問い合わせください。

改正入管法が成立 在留カード交付、3年以内に施行

2009年7月8日10時56分 asahi.com

3カ月を超えて日本に滞在する外国人を対象に新たな在留管理制度を導入する改正出入国管理法などの関連法が8日の参院本会議で可決、成立した。従来の「外国人登録証」(外登証)を廃止し、新たに「在留カード」を交付するのが主な内容で、日本の在留制度の大きな転換点となる。新制度は3年以内に施行される。

外登証を持つ外国人は08年末に約221万7千人で過去最多を更新した。在留管理を厳格化して不法滞在者を減らしつつ、外国人の利便性も高めるのが改正の狙い。

外登証は不法滞在者でも取得できたが、今後は適法な滞在者に在留カードを交付し、住民基本台帳にも登載する。住所変更などは自治体を通じて法務省も継続的に管理。職場や学校に対し、受け入れた外国人の情報を国に提供する努力義務を課している。

一方で、適法な滞在者の在留期間は上限を3年から5年に延長。1年以内の再入国は原則として許可を不要とするなど利便性も高める。

今後は国内に約13万人とみられる不法滞在者の扱いが課題になる。新制度の対象外となるため、「地下に潜り、犯罪に走る恐れがある」との懸念がある。法務省は「在留を認めるべき外国人は受け入れる」として、在留特別許可のガイドラインを見直して自主的な出頭を促す方針だ。

約42万人いる在日韓国・朝鮮人らには別途、「特別永住者証明書」が交付される。国会審議の過程で、歴史的な経緯に配慮し、常に証明書を携帯する義務は課さないよう当初案が修正された。

低賃金労働の温床との批判があった「研修・技能実習制度」の改正も盛り込まれている。「技能実習」という在留資格を新設し、1年目から最低賃金法や労働基準法を適用する。この改正については1年以内に施行される。(延与光貞)

外国人受け入れ「モラルを」 相次ぐ不法労働に憤り

残業代の不払いなど、外国人研修生や技能実習生に不法労働を強いる企業が後を絶たない。県内でも未払い残業代の支払いを求める労働審判の申し立てがあるなど深刻化。「外国人研修生なしに経営は成り立たん」という企業もあるなど、不法労働根絶を求める声が高まっている。

坂井市にある織物会社の社長(66)は「日本人と同じ待遇でも、働かせているだけで不法就労じゃないかと疑われる。不法がはびこれば研修生も来なくなる。企業はもっとモラルを」と怒りの声を上げる。

2001年。「きつい、汚い、危険」の3K職場とされる織物工場に日本の若者は就職しなくなり、同社も人手不足に悩んでいた。そんな時、外国人研修生を派遣する県内の協同組合から「外国人が1年の研修後、実習生として労働力になる制度がある」との話を聞いた。受け入れるには協同組合への入会に200万円、日本語能力テストの費用や座学研修費、組合費など毎月十数万円と高額な出資が必要だったが、「人がいないから仕方がない」と、中国人の受け入れを決断した。

織物は伝統的な技術を必要とするため、素人では作業ができない。派遣されたのは、基本作業がやっとの研修生ばかり。働く意欲のない研修生もいた。「中国人を手当たり次第集めてきているという印象だった。日本の高度な技術を学ぶという研修制度の理念は、建前でしかない」と社長は語る。

同社の全従業員16人のうち5人は外国人。研修を終えた技能実習生に対しては最低賃金を保証し、残業分には法定の賃金を払っている。07年には外国人のための寮も建てた。

昨年の金融危機で同社の受注は半減し今期の赤字は確実という。県内の外国人研修生・技能実習生の数はここ数年横ばいで、同社が受け入れ続けられるという保証はない。

外国人研修生権利ネットワーク・福井によると、08年に労働審判などに及んだ事例は過去10年で最多の約20件になるという。

中日新聞(増田紗苗)

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